「ピースおおさか」の問題点

戦争資料の偏向展示を正す会事務局 吉田 康彦

もくじ

●ピースおおさかの偏向展示を正す運動の経緯

●設置理念

●国際的反響のあった「20世紀最大の嘘−南京大虐殺の徹底検証」集会の開催

●中国の圧力で大騒ぎに

●河野外相への公開質問状

●ピースおおさかの偏向展示を正す運動の経緯

「戦争資料の偏向展示を正す会」(会長・青木 匠、普段は「正す会」と略している)は、その名が示すとおり、ピースおおさかの偏向展示を是正することを目的とした市民グループである。ピースおおさかとは正式名称を財団法人・大阪国際平和センターと言い、いわゆる戦争資料館である。あくまでもピースおおさかで配布しているパンフレットによると、展示内容の概要は展示室Aは「大阪空襲と人々の生活」をテーマとして、「大阪が見た戦争」についての展示を行い、大阪の戦争体験を伝えているという。50回以上に及ぶ大阪空襲の実態を明らかにするとともに、戦時下の生活の具体的な再現を通して、国内における戦争の悲惨さを実感できるという。続いて展示室Bは「15年戦争」についての展示を行い、満州事変から第2次世界大戦終結まで足掛け15年にわたるアジア・太平洋地域を中心とした戦争の実相を示すとともに、広島・長崎に投下された原爆の恐ろしさや、アウシュヴィッツに見られる戦争の非人間性なども取り上げているという。そして展示室Cは「平和の希求」についての展示を行い、第2次世界大戦後の核の脅威、民族、宗教、イデオロギーなどをめぐる紛争と戦火が絶えないこと、加えて飢餓、貧困、地球環境の悪化雅平和を脅かしているという。  ここに展示されている戦争資料には意図的にとも言える事実誤認があり、特に「15年戦争」をテーマとした展示室Bには、いわゆるニセ写真と言われるものまで堂々と展示されるなど、よく言われる「自虐史観」の典型だといえる。もちろん、その展示室には「南京大虐殺」コーナーもあり、「大虐殺」はあったとの前提でパネル展示がされている。 このピースおおさかが私的な資金を元に設立され運営されている資料館なら、何も問題視することはない。しかしピースおおさかは大阪府と大阪市が出資した2億円を基本財産と財団法人であり、資料館の建物は大阪府・市が無償で貸し付けている土地に大阪府・市が折半して建設したものである。しかも、事務局以下の職員も府と市からの出向であり、その上、毎年1億円余りの補助金を大阪府・市が負担している。つまり、税金で作られ維持されている「公立」資料館である。 しかも、この資料館は一般の入館者より、むしろ大阪府下の小・中学生が教師に引率され社会科の授業の一環として見学にやってくるというケースが多い。また、ピースおおさかを見学し感想文を書くことが夏休みの宿題となっている学校もあるほどである。つまり、私たちの税金で「ニセ写真」を展示し、児童・生徒にいわゆる「自虐史観」を押し付けている−それがピースおおさかの実態なのだ。 平成9年3月、そうした偏向展示を正そうと、市民グループや各種団体によって結成された。結成以来、本格的にピースおおさかに対して展示の是正を要求した結果、多くの市民の注目を集め、その年の7月には展示の見直しが行われ、ごく一部ではあるが日本軍が行ったとされた「北間島における虐殺」という出所不明の写真が撤去され、その他にも写真2枚が説明文が間違っているとの理由で書き換えられた。 続いて「正す会」の運動によって平成10年3月には見直す展示資料として、 撤去する展示写真として、展示室Bの2点(泣いている子ども、米の配給に群がる市民たち)、修正する写真説明文として、展示室Bの4点(鉄条網の首、進駐を見つめる市民、殺された母子、特攻隊)、修正する解説パネルとして、展示室Aの3点(焼夷弾・機雷の投下、各地の空襲、戦争と生活)、展示室Bの2点(平頂山、供出と徴兵)及び出典の明記として、展示室Bの展示写真113点となった。 なぜ、事実でない、または事実かどうか未だに定説でない展示内容になるかといえば、それはひとえに次のような設置理念の文言が存在するからである。

●設置理念

第2次世界大戦において、大阪では、50回をこえる空襲により、市街地の主要部分か゛廃虚と化しました。こうした被害は大阪にとどまりません。世界最初の核の被爆都市、広島・長崎、「本土決戦」と犠牲となった沖縄をはじめとして、数多くの日本国民が尊い生命を失い、傷つき、病に倒れました。同時に、1945年(昭和20年)8月15日に至る15年戦争において、戦場となった中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地下の朝鮮・台湾の人々にも多大な危害を与えたことを、私たちは忘れません。 人類共通の願いである恒久平和は、戦争の惨禍を知る世界中のあらゆる地域の人々がそれぞれの体験を伝えあい、語り続けることによって達成されます。そして国内外の各都市・各地域で広がりつつある戦争関係資料の収集、戦争体験の継承への取り組みも、次第に高まっています。当センターも、大阪における戦争被害者にたいする追悼の場であるとともに、平和に向けての新たな地域的な取り組みを意図したものです。 今日の世界は、なお多くの戦争の危機をはらんでいます。それらが局地的紛争から世界的規模での戦争に拡大する危険性は決して少なくありません。軍事技術の発達と人類を絶滅させるに十分な核軍備の存在は、それらが使用された場合には、かつての世界戦争の惨禍を超える被害をもたらします。戦争の惨害から将来の世代を護るために、人々が善き隣人として互いに平和に生活するために、私たちは力を合せなければなりません。 平和と安全への侵害は、現在も様々な形をとりながら世界の各地で続いています。人権抑圧や環境破壊、貧困や飢餓などもまた、人類共同体の安全にとっての大きな脅威です。それだけに、平和と安全に向けての私たちの取り組みの範囲も、ますます広がりつつあります。大阪府民・市民と国内外の人々との間の相互交流を深めることを通じて、大阪が世界の平和と繁栄に積極的に貢献するために、ここに大阪府国際平和センターを設置するものであります。           1991年(平成3)年9月17日

●国際的反響のあった「20世紀最大の嘘−南京大虐殺の徹底検証」集会の開催

このような設置理念をピースおおさかの展示内容の方針とするために、戦没者への慰霊という精神は全くなくなってしまった。 「正す会」は是正活動を展開する一方、大阪府民の税金で作られ運営されている資料館なのだから、逆に「正す会」こそピースおおさかを使用し、多くの方々に展示内容とは違った「事実」をここから発信しなければ意味がないということになった。 そこで最初に行ったのが、昨年3月、東條英機と東京裁判を描いて当時話題となっていた映画『プライド』の上映会であり、開催会場の講堂は一杯となった。 こうした中で、昨年秋になって、12月にピースおおさかを会場に「南京大虐殺」に関して日本の「戦争責任」を訴える「国際市民フォーラムinおおさか」という会合が行われたために、それならばこちらも「南京事件」をテーマにピースおおさかで会合を開こうということになった。それが1月23日に開催された「20世紀最大の嘘−南京大虐殺の徹底検証」集会であった。 1月23日、ピースおおさかで開催で開催した集会『20世紀最大の嘘−南京大虐殺の徹底検証』のことは既にご存じのことと思う。簡単に申し上げると、昨年11月23日、事務局の私がピースおおさかへ出向き、講堂の使用申請書を提出した。会場は空いていたが「しばらく考えたい」という返事だった。当然すぐにでも使用許可の書類が送られてくるものと思い待っていた。しかし、1週間たち、2週間たっても返事が来ず、4週間程たったある日、朝日新聞の記者から電話があり、「ピースおおさかの使用許可が出た。主催者としてコメントをお願いします。」と言われた。主催者よりも早く朝日新聞に連絡がいっていたのである。 奇怪なことはまだある。インターネットで配信されている『オルタナティブ運動情報』の中に、私たちが申請書を提出した11月23日に『ピースおおさか市民ネットワーク』という団体とピースおおさか事務局との間で、この集会の「開催是非についての話し合い」がもたれたと記述がなされていた。仮にこれらが事実だとすれば、一体誰がピースおおさかの管理・運営の決定権を持っているのだろうか。

●中国の圧力で大騒ぎに

この集会を巡る大騒動は、中国の在総領事館が大阪府と大阪市に対して中止を申し入れたのがスタートであった。さらに、中国外務省筋が外交ルートを通じて日本政府に対する中国政府の反発ぶりを何度も伝えていることを明らかにしたという。集会開催問題は「正す会」VSピースおおさかから、日本VS中国という国際的な問題となってしまったのである。私たちの集会は、国内はもちろん海外のマスコミからも注目を浴びるようになった。 さて、集会の方は500名を越える府民が参集し、南京事件について真実の検証がなされた。

●河野外相への公開質問状

集会が終わってほっとする間もなく新たな鉄砲の弾が思わぬ方向から飛んできたのである。それは中国の抗議に対する日本政府の対応、特に河野外務大臣の発言である。主催者の主張を確認しないままで、「政府と主催者の認識は異なる」というのである。そして「大多数の国民の支持を得ることはあり得ない。」とまで言っている。『ふざけるな!!』という他ははない。そこで「正す会」として、公開質問状を出させて頂いたわけだが、回答は未だに来ないのである。 この度の一連の行動を通し一番感じたことは、この日本という国の将来は確実に危ういと言わざるを得ないという事実である。質問状の内容は以下の通り。

【公開質問状】

外務大臣 河野洋平 殿                       

戦争資料の偏向展示を正す会 代表    青木  匠

  拝啓 時下、ますますご清祥の御事と拝察申し上げます。 さて、去る1月23日に私どもが開催致しました「徹底検証・南京事件の真実」集会について、新華社のインタビューお答えになられた大臣の発言が報道されております。しかし、その内容には、集会開催の趣旨に対する重大な事実誤認があり、また、民間において正しい歴史認識を深めたいと願っている私どもからは到底承認しがたき点を含んでおります。 つきましては、事実の確認を含め、次の4点について質問申し上げます。

一、 外務大臣は中国の国営通信社・新華社のインタヴューに次のように回答されたと報道されています。

  「集会を開いた団体の主張と日本政府の認識は違っている。(主張が)大多数の(日本)国民の支持を得ることはあり得ない」

  まず最初に、こうした発言をなされたのかどうか、事実でないとすれば、どのような質問に対して大臣がどのように答えられたのか、文書にてお示し賜れば幸いに存じます。

一、 大臣は新華社のインタヴューのなかで「集会を開いた団体の主張」と「日本政府の認識は違っている」とおっしゃられたとのことですが、「集会を開いた団体の主張」をどのようにして確認されたのでしょうか。確認されたとすれば、どのような文書をご覧になったのか、または集会実行委員会の誰にお問い合わせになられたのか、具体的に明示賜りたく存じます。

なお本日(1月26日)に至るまで、この集会を開催・企画した私どもには、我が国政府のいかなる機関からも開催の趣旨についてのお問い合わせはなかったことを申し添えておきます。

一、 もし、私ども主催者の開催趣旨を確認されることなく、「集会を開いた団体の主張と日本政府の認識は違っている」と発言されたのであれば、大臣のご発言は、中国側(新華社)が定義が付けた「集会を開いた団体の主張」を前提としたものと理解する他ありません。大臣は、主催者の主張を確認せず、中国の主張のみを前提として発言されたと理解してよろしいのでしょうか。

一、 本集会を開催した私どもの基本的態度は、

@南京事件については、様々な主張があるが、少なくとも中国が主張する「南京30万大虐殺」はなかった。

A何があったかは確認された事実に基づいて研究・議論すればよい、というものです。

この姿勢は、集会の「ご案内」にも記し、また当日は主催者の挨拶としても申し上げたところです。

もし仮に、こうした「主催者の主張」と、大臣かおっしゃられた「政府の主張」とが違うということであれば、我が国政府は「南京30万人大虐殺」があった、議論などする必要はない、という立場をとっていると考える他ありません。我が国政府が、いゆゆる「南京30万大虐殺」について、どのような見解をおもちなのか、具体的にお示し下さるようお願い申し上げます。また、その見解の根拠となる資料についても御教示願えれば幸いです。

以上、4点につき質問申し上げます。公務御多忙の折とは存じますが、主催者の名誉に関わることでもあり、本状到着後1週間以内に、当会事務局迄にご回答賜りますよう、お願い申し上げます。

 なお、この公開質問状は、国内マスコミにも、本日送付致しておりますことを申し添えておきます。 

敬具

平成12年1月26日